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2017年3月17日 (金)

2017年3月16日予算特別委員会「水俣条約と水銀対策について」

 2期目になってこの2年、一般質問に立つ機会は減りましたが、政策審議会事務局長という役目を拝命し、代表質問づくりに携わらせていただき、幅広いテーマについて勉強させていただいております。ただ、一般質問をする機会が少なくなってしまいました。
 昨日は、予算特別委員会で以下のとおり、質問しました。(正式な議事録は、2,3か月後に県議会HPにアップされます。)
 

水俣条約(正式には「水銀に関する水俣条約」)と水銀対策につきまして、まず、グローバルな課題、日本の課題についてお聞きし、それを踏まえ、県や市町村の取組みについてお聞きしていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 

◎世界的に増加している水銀汚染[1]

 私自身最近知ったことなのですが、世界的に、地球規模で、水銀による環境汚染が広がっていると言われています。過去100年間に人間の活動による水銀の放出により、世界の海洋表層100メートル(海の表面から100メートル)の水銀量は2倍に増加しているとのことです。

水銀は、常温で液体である唯一の金属元素で、気化して蒸気となりやすいという珍しい性質をもっています。そのため、いったん環境に排出されると、大気中で国境を越えて移動して全世界を循環し、地球規模の環境汚染を引き起こすことになってしまいます。

近年では、かつての水俣病のような、工場などの特定の汚染源による健康被害だけでなく、環境中の水銀が食物連鎖によって、大型の魚介類などに高濃度で蓄積し、それを摂食することによる胎児への影響なども心配されるようになってきています。

「水銀に関する水俣条約」が採択された背景には、このように、水銀汚染が、地球規模で取り組まなければ解決が難しいグローバルな課題として認識されるようになったことがあります

 

◎水俣条約の概要について

 まず、この水俣条約についてですが、これは、水銀および水銀化合物の人為的排出から人の健康および環境を保護することを目的としており、2013年(平成25年)10月に採択され、50カ国が批准してから90日後に発効することとなっています。

 我が国は、昨年(平成28年、2016年)2月2日に、この水俣条約を締結していますが、本年2月3日現在での批准国は38カ国であり、発効には、あと12カ国の批准が必要です。

そこで、水俣条約では、どのような規制がされているのか、その概要をご説明ください。

 

【答1】

〇水俣条約の内容は、水銀の産出や貿易、製品等への利用、大気中への排出、廃棄などについて規制するものです。

〇水銀の貿易については、条約上で認められた用途のみに限定されます。

〇水銀使用製品については、2020年までに水銀を一定以上含有する電池、蛍光灯などの製造、輸出、輸入が禁止されます。

〇大気への排出については、石炭火力発電所や非鉄金属精錬施設等からの排出削減対策を実施することとされています。

〇廃棄については、環境上適正な管理が求められています。

 

◎水銀の輸出の制限について

 水銀による甚大な被害を経験した日本は、様々な規則を設けるとともに、行政機関・産業界・市民が一体となって水銀対策に取り組んできました。その結果、現在では、水銀利用量は、1964年のピークの0.5%に、排出量も大きく減少し、水銀管理に関しては世界でも優良国となりました。

しかし、その一方で、日本からの水銀の輸出量は、財務省貿易統計によると、2012年で世界第10位。しかも、2012年から2014年までは70トン程度だったものが、2015年は約102トン、2016年は約147トンと増加しています。

我が国は,水俣病の経験を踏まえ、国際社会において、水俣条約策定までの議論に積極的に貢献してきました。現在も引き続き、国際社会と協力しつつ、水銀汚染対策の強化をリードすべき立場にあることを考えると、このような日本からの水銀の輸出の現状には疑問を持たざるをえません。

そこで、日本からの輸出について、国はなんらかの制限をしていないのかお聞きします

 

【答2】

〇現時点では、水俣条約は発効していませんが、発効すると、日本からの輸出については、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」により、水俣条約以上の規制を行うこととされています。

〇外為法により、水銀が一定量未満の電池や照明ランプ、試薬などを除き、水銀の輸出は全面的に原則禁止されることになります。

 

 輸出については、水俣条約が発効後、制限されるとのことですね。しかし、発効後でよいのかという疑問は残ります。

と言いますのも、世界的な水銀利用量は、国内外で減少傾向にあるものの、東アジア、東南アジアでの利用量が圧倒的に多く、用途としては、零細小規模な金の採掘が最も多くなっており、採掘業に従事する人々の健康がまず懸念されます。

さらに、日本から輸出された水銀が、適正に使用されず最終的に大気中へ排出され、回りまわって、福岡県、日本全体の環境を汚染し、県民の方々、私たち自身の健康に影響を与えかねないことも懸念されます。

水俣条約の発効を待たず、できるだけ早く、他の先進諸国並みの輸出制限をする必要があると思いますので、県としても、ぜひ国に働きかけていただくよう要望します。

 

いずれにしましても、輸出が制限されると、今まで輸出していた水銀は国内に留まることとなります。このため、水銀について、適切に対応するためには、しっかり安全に回収し、安全に処理していく必要があります。

そこで、まず、水銀使用製品の回収について伺います。

先ほど述べた通り、日本における水銀の使用量は減少しているものの、水銀使用製品は今も使用されていますし、これまで生産された水銀使用製品のすべてが完全に回収されたわけではありません。

このため、使用後の製品については、適正に回収する必要があるのではないかと思います。水銀使用製品の回収などについては、どのような規制があるのかお伺いします。

 

【答3】

〇水俣条約を的確かつ円滑に実施するため、平成27年(2015年)6月に「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」、通称「水銀汚染防止法」が成立しました。

〇この「水銀汚染防止法」では、条約上の規定にはありませんが、水銀使用製品の適正な回収のための国、自治体等の努力義務が規定されています。

〇国は、市町村が水銀使用製品を適正に回収するために必要な技術的な助言その他の措置を講ずるよう努めなければならないとされています。(第10条)

〇また、市町村は、経済的社会的諸条件に応じて、廃棄された水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。(第17条)

 

◎県内市町村の水銀使用製品の回収状況について

 一昨年成立した水銀汚染防止法」により、市町村は、水銀使用製品を回収する努力義務が規定されたとのことであります。

それでは、水銀の回収については、昨年のこの委員会で高橋先生が質問されていますが、現在、県内市町村では、どのような水銀製品を、どのように回収しているのでしょうか?あらためてお聞きします。

また、家庭や医療機関に残されている水銀体温計や水銀血圧計などの回収も必要と思いますが、どのような対応がとられているのでしょうか

 

【答4】

〇県内では、57市町村が、蛍光灯、ボタン電池や体温計等について、いずれか、あるいは、いくつかを何らかの方法で回収、分別しています。

〇回収の方法としては、

 「ステーション回収」、これは資源ごみの回収日等に既存のごみステーション等に住民が分別して排出し、市町村が回収する方法です。

 それから、「拠点回収」、これは市町村の施設や市町村の依頼により家電量販店や薬局等に設置した回収容器に、住民が直接持ち込み、市町村が回収する方法

等により行われています。

〇また、市町村の直接的な回収ではありませんが、電気店や時計店等の販売店の店頭に回収容器を設置し、事業者によって回収を実施する「店頭回収」が行われています。

〇なお、家庭の体温計については、環境省のモデル事業により、薬局や市町村の庁舎の窓口等で回収促進事業が実施されています。

〇医療機関の水銀血圧計等について、国(環境省)が平成28年3月に「医療機関に退蔵されている水銀血圧計等回収マニュアル」を策定しています。

〇環境省によると、このマニュアルは、日本医師会を通じて、各都道府県の医師会に周知され、多くの医師会において回収事業が実施されています。

 

◎水銀使用製品から回収された水銀の処理について

 昨年、医療機関に向けた回収マニュアルが策定されるなど、水銀の回収が着実に動き出している、とのご説明だったかと思います。

それでは、次に、回収された水銀の処理についてですが、処理についてどのような規制があるのでしょうか?

 

【答5】

〇水銀使用製品から回収された水銀は、これまで輸出や水銀使用製品に再利用されていましたが、今後、水俣条約の発効により、使用用途が制限されるため、廃棄物として取り扱う必要性が生じることが想定されます。

〇水銀は、人への毒性が強い物質であり、水俣条約でも、廃棄にあたっては環境上適正な管理が求められています。

〇このため、昨年4月、廃棄物処理法が一部改正、施行され、水銀使用製品等から回収された排水銀は、特別管理一般廃棄物又は特別管理産業廃棄物に規定されました。

〇収集運搬については、平成28年(2016年)4月から、水銀が常温で液体であり、揮発するという特性から密閉容器の使用等が義務付けられ、処分については、平成29年(2017年)10月から、安定した化合物にし、更に固形化した上で処分することが義務付けられる予定であり、国において処分の基準が公布される予定となっています。

 

◎県としての取り組みについて

市町村が、水銀使用製品がきちんと安全に回収されること、そして回収した水銀を適正に安全に処理することが重要だと思います。

では、県は、これまで市町村等に対し、どのような取り組みを行ってきたのか、また、今後、どのような取り組みを行うのか、お聞きします。

 

【答6】

〇「水銀汚染防止法」において、市町村には、廃棄された水銀使用製品の適正な回収を行うよう努力義務が定められており、この規定については、平成28年(2016年)12月に施行されているところです。

〇県としては、これまで、家庭から排出される水銀使用製品の分別回収に関し、国(環境省)が策定した市町村向けのガイドラインや事例集について、情報提供を行うとともに、平成28年(2016年)6月に市町村担当者に説明を行うなど、その周知を図ってきました。

〇また、水銀廃棄物の適正処理については、昨年(平成28年)3月に策定した「福岡県廃棄物処理計画」にも記載しているところです。

〇水俣条約の趣旨からも、家庭や医療機関から排出される水銀使用製品を適正に回収することが重要であるため、今後も多くの市町村が回収に取り組み、適正に回収されるよう、住民への啓発など市町村と連携して取り組んでまいります。

〇また、水銀の処理については、これまでも廃棄物処理法に基づき指導等を行ってきたところですが、新たな基準が施行されれば、その周知を図るとともに、新たな基準に基づき適正処理が行われるよう指導を行ってまいります。

 

◎環境部長の決意

 水銀使用製品の回収に関しては、昨年12月に新聞で報道されたように、回収拠点が北九州市には約200カ所ありますが、福岡市には30カ所しかないなど、市町村によって取り組みに差があることは明らかです。このままでは、適正な回収が進まず、適正な処理がなされないのではないかと危惧しています。

 水銀使用製品を分別していない市町村がまだあることや、取り組みに差があるため、すべての市町村が、水銀使用製品の分別、回収に取り組むべきだと思います。

確かに、水銀使用製品の回収は市町村の責務ですが、県民の健康を守るため、県としても取り組んでいく必要があると思いますが、今後どのように取り組むのか、部長の決意をお聞きします。

 

【答7】

○水銀は、人の健康や環境に重大な影響を及ぼすことから、水銀使用製品の回収や廃棄物となった水銀の適正処理は、重要な課題と認識している。

○このため、まず入口となる市町村における水銀使用製品の回収については、国のガイドラインや事例集を活用して、市町村等による回収の取り組みが進むよう働きかけるとともに、県民や事業者に対しても、一層の、その内容の周知徹底を図ってまいる。

○また、水銀を廃棄物として処理する場合は、「廃棄物処理法」に基づき、保管から収集運搬、処分の過程において、環境への影響がでないよう事業者等に対し指導を行ってまいります。

 

部長、有難うございます。今後さらに水銀の回収が進み、適正な処分がきちんと行われることを期待しております。質問を終わります。

 

 

 


[1] 水銀に関する水俣条約の国内対応検討委員会『水銀に関する国内外の状況等について』平成26年(2014)3月、3頁

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